3Dプリンターは「魔法の箱」「何でも作れる」と形容されるほど近年注目を集める技術ですが、半世紀以上前に誕生し、革新的な発明の歴史を持っています。
この章では、その歴史を知ることで、3Dプリンター技術(AM)の可能性と魅力に迫ります。

3Dプリンターの出現で変わる
ものづくり

2013年にオバマ大統領が一般教書演説で取り上げたことで、一大ブームが到来した3Dプリンターですが、元となった光造形を1980年に初めて発明したのは、

日本人です。

2009年に現在主流となっている3Dプリント技術「FDM方式」の基本特許の保護期間が終了したことを受け、市場の拡大が始まりました。
その後も市場は拡大し続けるとの予測されています。

3Dプリンターの登場で、

AM
(Additive Manufacturing:アディティブ・マニュファクチャリング)

という新しいものづくりの概念が誕生しました。

AMとは、積層造形法といわれる加工技術の一つです。切削加工や鋳造といった従来の製造方法とは異なり、3Dプリンターを用いて、層を重ねることで物体を作る技術です。つまり、部品を1つずつ積み上げていくことができるため、複雑な形状の部品や一般的に製造が難しいとされる形状の部品を簡単に製造することが可能です。また、デジタルデータから直接物体を作ることができるため、製造工程を簡略化できるメリットもあります。

3Dプリンターの世界

1|アイディア・デザインの選択肢が広がった

AMでは1層ずつ造形されるので、モデルの間に空間があっても造形することができます。
3Dプリンターを使わない従来のモノづくりでは、削ることや組み合わせることで造形することが基本でした。外側は加工できるけど、工具が入らない内側は加工できないのが当たり前で、それを表現するためにパーツ分割して組み合わせるなど試行錯誤をして、造形を表現しています。3Dプリンターではそれらを一体形状出力することもできます。またアンダーカット形状なども表現できるようになりました。これらがブレイクスルー※2となり新しいアイディアが次々と現実化しています。

アンダーカット形状とは成形加工において、金型から成形品を取り出す際に、型を開く方向のみでは離型できない形状のこと。

2|試作のハードルが大幅に下がった

製品を売り出すまでに必ず行うのが試作工程です。
実際に製品の試作モデルを作ることで、使い勝手や問題点を隅々まで検証します。プラスチック製品の試作を作る場合は、型を使った工法か、プラスチック塊からを削り出す方法(切削)が一般的でした。いずれの方法も、データから直接作ることはできず、それぞれの加工にあわせた、2次加工やデータ調整が必要でした。3DプリンターはSTLやOBJの汎用的なデータで直接出力することができます。型製造や切削の工程を省くことができ、試作コストの削減と短納期化を実現することによって、製品化までのハードルが大幅に下がりました。

さてここでは、3Dプリンター出現の歴史と新しいアイディアを形にできる方法だと簡単に説明しました。
ご理解いただけたでしょうか?つぎはもう少し3Dプリンターの全容を紹介していきます。

次回「そもそも3Dプリンターって何?わかりやすく解説!」お楽しみに!!