3Dプリンターは、さまざまな種類が存在します。そのため、導入を考えている人には、どの種類の3Dプリンターが自分にとって適しているかを判断するのが難しいかもしれません。本記事では、3Dプリンターの主要な種類とその特徴について解説します。

フィラメントから造形する
FDM方式

熱溶解積層法/FDM

熱溶解積層法(Fused Deposition Modeling)(以下FDM法)は一番普及している工法です。熱可塑性樹脂(熱で溶けて冷えれば固まる樹脂)を線材にして巻いたフィラメントという線状の材料を使います。

3フィラメントを高温になる細いノズルから押し出しながら、半液状になった材料をコンピュータ制御された経路に従って押し出しながら配列していきます。重力によって落ちてしまう造形困難な角度の場所は足場になるサポート材を配置して造形を完成させます。
1段目にフィラメントを配置し終えたら、2段目のフィラメントを配置、3段目を配置のような手順で下から上に1段1段材料を積んでいきます。3Dプリンターの造形作業が終わったら、出力品をプリンターからはがして、不要なサポート材を取り外します。機種によっては複数の材料が出力できる、マルチヘッドの機種があり、水で溶ける材料をサポート材として設定できるものもあります。
2009年一部の特許期限が切れたため、装置メーカーの新規参入・装置の低価格化が起こり3Dプリンターブームの火付け役となりました。

FDMで印刷できる材料

FDM方式であつかう材料は熱可塑性樹脂が基本となります。プラスチック材料で180~300°程度の加熱で溶ける材料です。
おおよそのシェア順に材料を紹介します。

  • 材 料
  • 特 徴
  • 温 度
  • PLA
  • 生分解性があり、環境にやさしい。比較的低い溶融温度で印刷可能で、簡単に使用できる。ただし、強度が低く、耐熱性が低い。
  • 190 - 220℃
  • ABS
  • 強度が高く、耐熱性がある。しかし、環境にやさしくなく、印刷時には不快な臭いが発生する。また、印刷には高温環境が必要で、印刷物に歪みが生じることがある。
  • 220 - 260℃
  • PETG
  • 透明度が高く、強度や耐熱性に優れる。PLAやABSよりも柔軟性があり、印刷物に歪みが生じにくい。また、環境にやさしい素材である。
  • 220 - 250℃
  • TPU
  • 弾力性が高く、柔軟性がある。耐油性や耐磨耗性に優れ、摩擦や衝撃に対しても耐性がある。
  • 210 - 230℃
  • Nylon
  • 強度が高く、耐摩耗性や耐熱性に優れる。また、柔軟性があるため、フレキシブルな印刷物に適している。
  • 240 - 260℃
  • PC
  • 強度が非常に高く、耐衝撃性に優れる。耐熱性が高く、高温環境下でも変形しない。ただし、印刷には高温環境が必要で、印刷物に歪みが生じることがある。
  • 260 - 300℃
  • HIPS
  • ABSと同じ強度や耐衝撃性を持ち、ABSよりも比較的安価である。熱可塑性であり、複雑な形状や曲面を持つ造形物の印刷に適している。
  • 210 - 240℃
  • PVA
  • 水に溶ける性質があり、支柱やサポート構造として使用される。環境にやさしく、より高い精度で印刷できるが、比較的高価であり、湿気に敏感である。
  • 180 - 220℃

複合材料

プラスチックに別の素材を配合させた材料もあります。

  • 材 料
  • 特 徴
  • 木材系
  • 木材のような質感や風合いを再現することができる。環境にやさしく、匂いも少ない。ただし、材料の硬度が低く、割れやすい。
  • 金属系
  • 金属を粉末にしたものをプラスチックに混ぜたフィラメントで、印刷物に金属の風合いを与えることができる。強度や耐熱性に優れる。ただし、材料が高価で、印刷には特殊な機器が必要な場合がある。
  • セラミック系
  • セラミック粉末をプラスチックに混ぜたフィラメントで、セラミックの質感や硬度を再現することができる。高い耐熱性や耐薬品性を持つ。
  • 炭素繊維系
  • 炭素繊維をプラスチックに混ぜたフィラメントで、強度や剛性に優れる。熱伝導性にも優れ、高温環境下での使用に適している。ただし、材料が高価で、印刷には特殊な機器が必要な場合がある。

FDM方式のメリットは安価で後処理が手軽で材料の種類が豊富なことです。
現状のデメリットは他の工法に比べて造形時間が長い点です。
黎明期の工法なので外れ機種があるので初期購入の際には少し高くてもメジャーな(レビューの多い)機種をお勧めします。
材料が豊富なため使いこなすには、形状や気温、湿度の影響での試行錯誤が必要です。

今回は、FDMの3Dプリンターについて書きました。
いかがっだったでしょうか 最もシェアの多いのがFDM方式です。原理がわかりやすいので初めて使う方にはお勧めの工法です。
次は光造形について説明します。
次回「液体から造形する光造形方式」お楽しみに!!